はじめに
経営者にとって、毎日が判断の連続です。
「これもやった方がいい」「あれも取り入れたい」
と思うほど、やるべきことは増えていきます。
しかし、経営において本当に重要なのは、“何をやるか”よりも、“何をやらないか”を決めることだといわれます。
限られた時間と資源の中で、会社を成長させるためには「選択と集中」の考え方が欠かせません。
やらないことを決める難しさ
「やらない」と決めることは、実は「決断する力」を試される場面でもあります。
特に中小企業の経営では、社長自身がマーケティング・営業・採用・経理等幅広く関わることが多く、「全部自分で見なければ不安」という気持ちになりがちです。
しかし、何でも自分で抱え込むと、いつしか本来やるべき「経営判断」に時間を割けなくなります。
また、会社の方向性がぼやけてしまい、従業員も「何が優先なのか」が分からなくなってしまいます。
“やらないことを決める”とは、「会社が向かう方向を明確にする」ことでもあるのです。
経営資源は有限──集中の原則
人・モノ・お金・時間。
どの会社にも、経営資源には限りがあります。
その中で成果を最大化するには、経営資源を分散させずに「ここに集中する」と決めることが重要です。
たとえば、
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商品ラインをむやみに増やさず、得意分野に特化する
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取引先を絞り込み、信頼関係を深める
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目の前の流行より、長期的な顧客満足を重視する
といった取り組みは、いずれも「集中」の経営です。
“会社としての軸”を守る姿勢が、結果的に会社の強みをつくります。
「やめる」ことは、会社を強くすること
日常業務に追われてしまい、経営判断の中で「やめる」決断は、つい後回しにされがちです。
しかし、実は“やめる勇気”こそが、会社を次のステージに進めるきっかけになります。
不要な業務を減らすことで、社員の時間が生まれ、新しいチャレンジの余裕が出来る事に繋がります。
経理や総務の現場でも、
「毎月やっているけど、実は誰も見ていない報告書」
「昔から続けているけど、もう使われていない帳票」
など、“惰性で続けている業務”があるかもしれません。
いま一度、会社全体で「この仕事は本当に必要か?」を見直してみましょう。
やめることは悪いことではありません。
“次の一手”に向けた前向きな経営判断です。
まとめ
経営の現場では、「何をやるか」を考える時間は多くても、「何をやめるか」を考える機会は少ないものです。
しかし、時間も人も資金も限られている中で、すべてを追いかけることはできません。
本当に必要なものに集中するためには、あえて「やらないことを決める勇気」が求められます。
この選択こそが、会社をより強く、より長く続けていくための第一歩になるのです。