はじめに
「毎日忙しいのに、なぜ成果が出ないのだろう?」
多くの経営者が一度は感じる疑問です。
朝から晩まで仕事に追われ、打合せや対応に時間を取られているうちに、一日があっという間に過ぎていく。
しかし、振り返ると「本当に必要なことに時間を使えたのか?」と疑問が残る――そんな経験はありませんか。
経営において“忙しさ”と“成果”は必ずしも比例しません。
むしろ、時間の使い方を見直すことが、会社の成長に直結します。
今回は、経営者が意識したい「時間の使い方」の基本姿勢を整理します。
忙しさが続く理由
経営者が忙しくなる主な原因は、次の3つに整理できます。
1.自分で抱えすぎている
「自分がやったほうが早い」「人に任せるのが不安」――そんな気持ちが積み重なると、仕事が自分に集中してしまいます。
結果、経営判断に使うべき時間が取れなくなります。
2.優先順位が曖昧
日々の業務をこなすうちに、“今すぐ必要なこと”ばかりに時間を使ってしまい、“本当に重要なこと”を後回しにしがちです。
3.計画を立てないまま動いている
行き当たりばったりで行動すると、どうしても「忙しいのに成果が出ない」状態になります。
忙しさの正体は、実は「やるべきことが多い」ことよりも、「何を優先するかが決まっていない」ことにあるケースが多いのです。
経営者にとっての“時間”とは
経営資源には「人・モノ・金・情報」等がありますが、見落とされがちなのが「時間」です。
時間は誰にとっても1日24時間しかなく、唯一、平等に与えられた資源です。
だからこそ、経営者自身が「時間をどう使うか」を意識することが、会社の方向性を左右します。
時間を「費やす」ではなく、「投資する」と考えると、判断基準が変わります。
たとえば、
・社員教育や業務マニュアル作成に時間を使う → 将来の効率化への投資
・新しいサービスや仕組みを検討する時間 → 将来の利益を生む投資
・不要な会議や報告書に費やす時間 → 生産性を下げる浪費
時間を“使う先”を変えるだけで、経営の成果は大きく変わります。
優先順位のつけ方
忙しさから抜け出すためには、次の2つの視点を意識しましょう。
1.「緊急度」より「重要度」を見る
電話対応や書類確認など、緊急な業務は目の前に迫ってきます。
しかし、本当に会社を成長させるのは、重要だけれど緊急ではない仕事――たとえば、戦略会議、経営計画、人材育成などです。
もちろん、緊急度を優先しなければならない事もあります、この“重要だが緊急でない”領域に、意識的に時間を確保しましょう。
2.「やらないこと」を決める
限られた時間を有効に使うには、あれもこれもと抱え込まず、「やめることを決める」ことも大切です。
“何をやるか”と同じくらい、“何をやらないか”を明確にすることで、本当に必要なことに集中できます。
仕組みで時間を取り戻す
個人の努力だけでなく、「仕組み」で時間を生み出す工夫も必要です。
たとえば、
・定例業務をテンプレート化する
・定期的な会議を見直す
・業務のデジタル化・クラウド化を進める
こうした取り組みは、最初は手間がかかっても、長期的には“時間の創出”になります。
特に経営者が率先して業務の見直しを行うと、社員の意識改革にもつながります。
まとめ
経営における“成果”は、どれだけ忙しく働いたかではなく、どれだけ効果的に時間を使えたかで決まります。
「今やっている仕事は、本当に会社の未来に必要か?」と自問する習慣が、次の一歩を生み出します。
忙しさを誇るよりも、時間を味方につける。
その発想が、安定した経営とゆとりある働き方の第一歩です。
ひとこと
「時間が足りない」と感じたときこそ、立ち止まって考えるチャンスです。
やみくもに動くよりも、“今、何に時間を使うか”を見直すことで、結果的に仕事の質も向上します。
経営者自身の時間を整えることが、会社全体の生産性を高める近道です。