免税店事業の注意点

現在、輸出物品販売場でのビジネスを検討されている会社様が多くいらっしゃいますが、事業者が「輸出物品販売場」として物品を免税販売するためには、次の1から5の全てを満たしていなければなりませんので、実際に事業を進める場合には、下記事項を事前にご確認下さる様お願い致します。
1、輸出物品販売場の許可を受ける。

輸出物品販売場の許可を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に、経営する販売場ごとに必要な申請書類を提出して許可を受けなければなりません。
そして、その許可を受けるためには、基本的に次の全ての要件を満たしていることが必要となります。
① 輸出物品販売場の所在地は、非居住者の利用度が高いと認められる場所であること。
(これは、申請時点で利用度が高いという事を求めているものではなく、今後、非居住者の利用が見込まれる場所も含まれます。)
② 輸出物品販売場が非居住者に対する販売に必要な人員の配置及び物的施設を有するものであること。
これに関し、下記の補足をさせて頂きます。
(イ) 「非居住者に対する販売に必要な人員の配置」とは?
輸出物品販売場における免税販売の際に必要となる手続を非居住者に対して説明できる人員の配置を求め
ているものです。
(ロ) 外国語については話をできないといけないのか?
母国語のようにスムーズに話せることまでを必要としているものではありません。パンフレット等の補助資料を活用しながら、非居住者に手続を説明することができれば十分です。
もちろん、外国語を話せることにより、外国人観光客の満足度をより向上させることが出来れば、その外国人観光客の方がその輸出物品販売場をクチコミで広めてくれる可能性もあります。
(ハ)「非居住者に対する販売に必要な物的施設」とはどのような施設をいうのか?
免税販売の際に必要となる手続を行うためのカウンター等の物的施設があることを求めているものであり、免税販売のための特別なカウンターを設けることまでを必要としているものではありません。
③ 輸出物品販売場の申請者が許可申請の日から起算して過去3年以内に開始した課税期間の国税について、その納税義務が適正に履行されていると認められること。
④ 輸出物品販売場の申請者の資力及び信用が十分であること。
⑤ ①から④のほか許可することにつき特に不適当であると認められる事情がないこと。
そして、輸出物品販売場の許可は、場所の要件、物的要件、人的要件を総合して判断し、「特定の場所」に対して許可を行うものですので、許可を受けていた店舗を移転した場合等には、改めて移転先の店舗について、許可を受けなければなりません。
2、非居住者に対する販売である。

輸出物品販売場において免税販売をする事ができるのは、外国為替及び外国貿易法で規定されている「非居住者」に対してに限られています。
そして、輸出物品販売場での免税販売に際しては、パスポート等で確実に購入者が「非居住者」であるのか確認してください。
そこで、どのような方が「非居住者」に該当するのかというと・・・
「外国人旅行者など日本国内に住所又は居所をを有していない者」をいいます。
例えば、外国人であっても
① 日本国内にある事務所に勤務している者
② 日本に入国後6か月以上経過した者
は、非居住者に該当しません。
3、免税対象物品の販売であること。

輸出物品販売場の申請の許可がおりれば、どのような商品でも免税販売できるのかというと、そうではありません。
非居住者の方が輸出するために購入される物品のうち、通常生活の用に供する物品のみが免税の対象とされています。
したがって、非居住者の方が事業用又は販売用として購入することが明らかな物品は免税販売の対象になりません。
(非居住者の方が国外に所在する事業者の代理として、このような物品を購入する場合も同様です。)
また、免税販売の対象となるのは、一般物品又は消耗品の区分に応じて、下記のとおり一定の金額基準を満たすものです。
≪一般物品(消耗品以外)の場合≫
同一の非居住者に対する同一の店舗における1日の販売額の合計が1万円を超えるもの
≪消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品その他の消耗品)≫
同一の非居住者に対する同一の店舗における1日の販売額の合計が5千円を超え 50 万円
までの範囲内のもの
なお、下記の注意点があります。
酒やたばこなどについては、消費税法以外の法律等により、その販売に当たって許可等が必要とされる物品ですので、輸出物品販売場の許可とは別に、関係法律等に基づく許可等が必要となりますのでご注意ください。
4、所定の手続きで販売する。

輸出物品販売場で免税対象物品を販売するには、その販売方法についてもルールが定められています。
手順としては下記のとおりとなります。
※輸出物品販売場での免税店様を(A)、購入者である非居住者を(B)とします。
(1)BからAへ
旅券(パスポート)等の提示
(2)Aにて
「購入記録票」の作成
(3) BからAへ
「購入者誓約書」の提出
(4)AからBへ
「購入記録票」の旅券等への貼付(割印)
(5) AからBへ
免税対象物品の引渡し
※消耗品については、指定された方法による包装をする必要があります。
(6)A
「購入者誓約書」等の保存
なお、これに合わせて、購入者である非居住者は、税関へ購入記録票を提出し、購入した免税対象物品を国外へ輸出するという手続きが必要となります。
5、「購入者誓約書」等を保存すること

輸出物品販売場における免税対象物品の販売につき、免税の適用を受けるためには、輸出物品販売場を経営する事業者が、購入者である非居住者が作成した「購入者誓約書」を事業者の納税地又は輸出物品販売場の所在地に保存しなければなりません。
そして、同一の輸出物品販売場において、同一の非居住者に対して1日に販売する一般物品の販売額の合計が 100 万円を超える場合には、輸出物品販売場を経営する事業者は、その非居住者の旅券等の写しを事業者の納税地又は輸出物品販売場の所在地に保存する必要があります。
加えて、上記の保存期間は、「輸出物品販売場を経営する事業者が免税対象物品を免税で販売し
た日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間」です。
以上
上記のように、免税ビジネスをするにあたってはいくつかのポイントがありますので、実際のビジネスがこれらのポイントをクリアできているのかのご確認を必ず事前にされる事をおススメしています。