先日、日本経済新聞にて、年末調整の手続きを数年後にはインターネットにて行う旨の報道がありました。
役員を含め会社員の方は、毎年年末になると、年末調整関係資料一式を会社に提出し、その後は担当者の方が資料をチェックし、一人一人のその年の確定した所得税額等を計算し、過不足があれば精算するという手続きをおこないます。
※「等」とあるのは、数年前の東日本大震災の復興財源として所得税に一定率を乗じた復興特別所得税が含まれています。(こちらの投稿では、所得税及び復興特別所得税を「所得税等」と記載致します)
現段階では具体的な方法はこれから決まりますが、従業員はマイナポータルという、マイナンバーの個人サイトを使い、会社側はインターネット経由で必要なデータを税務署に提出します。
今までの流れと違う方式になると、疑問点等が湧く場合が多いので、今回は、給料とそこから引かれる所得税等の話を致します。
毎月の給与や臨時で支給される賞与では、所得税等が会社から差し引かれて支給され、その年最後に給与を支払う際に年末調整で精算します。
また、給与や賞与から差し引かれる税金には、他にも住民税がありますが、今回はそれ以外の所得税等についての話となります。
なお、差し引かれる所得税等については、年間を通じて次のような流れで徴収・精算されます。
1、毎月の源泉徴収
毎月の給与や賞与から源泉徴収される所得税等の額は、平成29年については、下記URLに掲載されている「給与所得の源泉徴収税額表」により求めています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/01.htm
2、年末調整
その年の暦年1年間の給与及び賞与の合計に対する所得税等の額と毎月の給与及び賞与から源泉徴収された所得税等の合計額は、下記の理由により一致しない場合があります。
・子の就職などにより年の中途で控除対象扶養親族の数が変わる場合。
・生命保険料控除や損害保険料控除などは、毎月に控除されるものではなく、年末に一度に控除することとなる。等
このため、その年の最後の給与の支払をするときに、過不足額の精算を行います。
これが「年末調整」と呼ばれるものです。
給与収入のある方の殆どは、年末調整で1年間の所得税及等の納税が完了しますので、確定申告の必要はありませんが、下記(3)の確認が必要となる場合があります。
(3)確定申告
給与収入のある方でも、確定申告をしなければならない場合や、確定申告をすると所得税等が還付される場合があります。
① 給与収入のある方でも、次の事項に該当する場合等には確定申告をしなければなりません。
・ 給与の収入金額が2,000万円を超える方
・ 給与所得や退職所得以外の所得金額(収入金額から必要経費を控除した後の金額)の合計額が20万円を超える方
・ 2か所以上から給与の支払を受けている方 など
② 確定申告をする義務のない給与収入のある方でも、次の事項に該当する場合等には、確定申告をすると所得税等が還付されます。
・ マイホームを住宅ローンなどで取得した場合 など
・ 多額の医療費を支払った場合
・ 災害や盗難にあった場合
・ 年の中途で退職し、再就職していない場合
・ 給与所得者の特定支出控除の特例の適用を受ける場合 など
※給与所得者の特定支出控除について
給与所得者の特定支出控除の特例は、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合に、確定申告により、その超える部分の金額を給与所得控除後の給与等の金額から控除できる制度です。
特定支出とは、
1 通勤費
2 転居費(転任に伴うもの)
3 研修費
4 資格取得費(人の資格を取得するための費用)
5 帰宅旅費(単身赴任に伴うもの)
6 勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等)
のうち一定の要件を満たすものをいいます。
※ 勤務必要経費は65万円が上限となります。
〈この控除を受けるための手続〉
この控除の適用を受けるためには、確定申告書等にその適用を受ける旨及び特定支出の額の合計金額を記載するとともに、給与等の支払者の証明書や特定支出の金額を証する書類などが必要となります。
以上
このような所得税の徴収と精算の流れとなり、具体的な所得税額等の計算方法等については、別途ご案内いたしますが、詳細等をお聞きになられたい場合は、お気軽に弊所までお問合せ下さい。
なお、上記内容は本日時点の現行法令等に基づくものであり、分かり易くお伝えするためにできる限り平易に記載するようにしていますので、実際の手続きや計算についてはご自身で個別にご確認をして頂き、内容に関する責任は弊所では一切負いませんので、ご了承の程宜しくお願い致します。