今年もこれから12月になりますが、この時期ならではの年末業務が出てきます。
そして、総務・経理担当者の場合には、年末調整に関する業務を行なう事になり、早い会社では、10月下旬頃からパート・アルバイトの方を含む全従業員むけに年末調整の案内を出します。
その際には、必要書類の作成をしてもらいますが、その中に、毎年提出する事となる扶養控除等申告書を提出する事になります。
扶養控除等申告書とはどのような書類なのか
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」というのが正式名称になりますが、毎年、最初の給与の支払を受ける日の前日までに会社に提出する事になっています。
つまり、今回は、令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を会社に提出するのですが、事務手続き上、令和2年1月に提出するのではなく、令和1年の年末調整書類と一緒に提出するのが通常の流れになっています。
また、その年の間に配偶者や扶養親族等に異動があった場合には、別に移動申告書を提出するか、又は、この扶養控除等申告書の該当欄を異動後の内容に変更します。
そして、令和2年の年末調整では、この扶養控除等申告書の記載内容に基づき、扶養控除等の控除を受ける事になります。
給料から控除される源泉所得税が少なくなります
通常、給与が支払われる際には、給与明細を見ると、源泉所得税が控除されています。
ところで、この源泉所得税については、控除される源泉所得税が「源泉徴収税額表」という所定の算出表の中での二つの欄によって算出されているのをご存知でしょうか。
一つ目が、「甲欄」で、これは、扶養控除等申告書を提出した方で、そして、扶養親族等の人数が多ければ多いほど、控除される源泉所得税が少なくなります。
そして、二つ目が、「乙欄」です。扶養控除等(異動)申告書を提出していない方がこの乙欄に該当し、甲欄の適用を受けている方より控除される源泉所得税が多くなり、手取りの給与が少なくなります。
もちろん、その後の年末調整や確定申告でその年の所得税額の過不足額があれば精算されるのですが、給与をもらう時には、少しでも多くもらっていた方が嬉しいものです。
2社以上に勤務している場合には、1社だけしか提出できません。
ところで、上記のように、扶養控除等(異動)申告書を提出していれば、甲欄の適用を受ける事が出来て、毎月の給与の手取額が多くなるので、複数の会社で勤務している場合には、全ての会社に提出しようと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、1つの勤務先だけしか提出できない事になっています。
そのため、通常は、メインの会社だけに提出して甲欄の適用を受けて、その他の会社は乙欄の適用を受けるケースが多いです。
扶養控除等申告書の記載方法について
扶養控除等申告書は、いくつもの項目を記載する事となっていて、そして、年によっては様式が改訂になります、
今回の改訂内容は後ほどお知らせしますが、まずは、記載方法につき上段から順次ご案内します。
税務署長欄:勤務先の会社の所轄の税務署名を記載します。
市区町村長欄:ご自分が住んでいる市区町村名を記載します。
以下は、勤務先の会社情報を入力します。
給与の支払者の名称(氏名)
給与の支払者の法人(個人)番号
給与の支払者の所在地(住所)
ご自分の情報を記載します。
あなたの氏名
フルネームとカタカナでフリガナを記入し、本人の印鑑(シャチハタ以外)を捺印します。
その他、次の内容を記載します。
あなたの個人番号(個人番号の記載は、勤務先の案内によって取り扱いが異なる場合があります)
あなたの住所又は居所(※)
(※)令和2年1月1日現在の住所を記載し、その日までに引っ越しをする予定の場合には、その引っ越し先の住所を記載します。
あなたの生年月日(和暦で)
世帯主の氏名及びあなたとの続柄
配偶者の有無
フリガナの記載を忘れないようにしましょう
この書類に記載する際の注意点が「フリガナ」の記載を忘れないようにする事です。
年末調整の後には、源泉徴収票などの書類を会社が作成する事になりますが、その源泉徴収票などへもフリガナの記載が必要となっております。
人によっては漢字から推測される読み方が通常と異なる場合がありますので、その場合には、源泉徴収票などに記載するフリガナが誤ってしまう場合があります。
そのため、フリガナの記載を忘れないようにしましょう。
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」と「給与の支払者受付印」
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」欄は、複数の会社で勤務をしていて、メイン以外の勤務先にこの「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出する場合には、「〇」を付ける事になっています。
そして、「給与の支払者受付印」欄は、勤務先の会社がこの給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を受領したという受付印を押す箇所です。
そのため、ご自分が捺印をする事はありませんので、未捺印の状態で提出して下さい。
そして、ここから下の欄は、ご自分の状況によって記載内容が異なります。
なお、ご自分に源泉控除対象配偶者や障害者に該当する同一生計配偶者・扶養親族がいない場合で、
かつ、
提出者本人が障害者、寡婦・寡夫又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、この下の欄の記入は不要です。
源泉控除対象配偶者について
この源泉控除対象配偶者とは、
⇓
ご自分の令和2年中の所得見積額が900万円以下であり、
かつ、
ご自分と同一生計の配偶者の令和2年中の所得の見積額が95万円以下(給与収入だけの場合150万円以下)
の方です。
なお、青色事業専従者として給与の支払いを受ける方及び白色事業専従者は除かれます。
そして、この源泉控除対象配偶者控除は、夫婦お互いで受けられずに、どちらか一方のみの適用になりますので、ご注意下さい。
この源泉控除対象配偶者がいる場合には、この欄に、その配偶者の次の内容を記載します。
氏名・フリガナ(カタカナ)
個人番号
生年月日
令和2年中の所得の見積額
←扶養控除等申告書記載時点では、もちろん、令和2年の所得額は確定していませんので、あくまでも「見積額」です。
また、「所得」は、収入金額等から必要経費等を控除した金額を記入しますが、
・給与収入のみの場合には、給与収入から給与所得控除額を控除した金額が給与所得の金額になります。
・確定申告しない事を選択した上場株式の配当やその他一定の金額については、この所得には含まれません。
非居住者である親族←その配偶者が非居住者に該当する場合に「〇」を記載します。
住所又は居所←同居であれば、「同上」で大丈夫です。
異動月日及び事由←令和2年中に異動があった場合に記載します。
控除対象扶養親族について
控除対象扶養親族を考える前に、「扶養親族」の各種名称について説明します。
扶養親族と控除対象扶養親族について
この扶養親族とは、令和2年中の所得見積額が48万円以下の次の方が該当します。
・提出者本人と生計を一にしている親族(※)
・児童福祉法による里子又は老人福祉法による養護老人
なお、配偶者及び青色事業専従者として給与の支払いを受ける方・白色事業専従者を除きます。
そして、この扶養親族のうち、年齢が16歳以上の方(平成17年1月1日以前生まれ)が控除対象扶養親族に該当します。
特定扶養親族について
先程の控除対象扶養親族のうち、年齢が19歳以上23歳未満(平成10年1月2日から平成14年1月1日までに生まれた方)が特定扶養親族に該当します。
老人扶養親族について
控除対象扶養親族のうち、年齢が70歳以上の方(昭和26年1月1日以前生まれ)の方を「老人扶養親族」といいます。
同居老親等について
上記の老人扶養親族のうち、ご自分又はご自分の配偶者の直系尊属で、提出者本人またはその配偶者のいずれかとの同居を常況としている方を「同居老親等」といいます。
控除対象扶養親族欄の記載
この控除対象扶養親族がいる場合に、次の内容を記載します。
氏名・フリガナ(カタカナ)
個人番号
提出者本人との続柄(例:子・父 等)
生年月日
次のチェックマーク「☑」を付ける箇所について
「同居老親等」
「その他」
「特定扶養親族」
控除対象扶養親族が同居老親等の場合・・・「同居老親等」にチェックマーク「レ」を付けます。
控除対象扶養親族が同居老親等以外の老人扶養親族の場合・・・「その他」にチェックマーク「レ」を付けます。
控除対象扶養親族が特定扶養親族の場合・・・「特定扶養親族」にチェックマーク「レ」を付けます。
令和2年中の所得の見積額←扶養控除等申告書記載時点では、もちろん、令和2年の所得額は確定していませんので、あくまでも「見積額」です。
非居住者である親族←その控除対象扶養親族が非居住者に該当する場合に「〇」を記載します。
生計を一にする事実←控除対象扶養親族が非居住者である場合に、年末調整の時に令和2年中にその親族に送金等をした合計金額を記載します。
住所又は居所←その控除対象扶養親族の住所又は居所を記載します。
異動月日及び事由←令和2年中に異動があった場合に記載します。
障害者(特別障害者)、同居特別障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生について
障害者(特別障害者)について
障害者とは、提出者本人またはその提出者本人の同一生計配偶者や提出者本人の上記に該当する扶養親族で、一定の方が該当し、
さらにそのうちに、特別障害者に該当する方がいらっしゃいます。
寡婦、寡夫について
結婚をしていた女性と男性で、配偶者の方と離婚した場合や死別した場合で一定の要件に該当する方です。
勤労学生について
勤労学生とは、次の「全ての」要件に該当する方です。
・大学・高等学校等の学生等や一定の要件に該当する専修学校等の生徒、職業訓練法人の行なう認定職業訓練を受ける訓練生の方等。
・自身が働いた事による事業所得や給与所得等がある。
・令和2年収の所得の見積額が75万円(給与所得のみの場合には、給与収入が130万円)以下であり、そのうち、給与所得等以外の所得が10万円以下。
他の所得者が控除を受ける扶養親族等
提出者本人の扶養親族で、他の所得者が控除を受ける扶養親族等がいる場合に、該当する方を記入します。
住民税に関する事項
扶養親族等のうち、16歳未満(平成17年1月2日以後に生まれた方)の情報を記載します。
また、その扶養親族が、日本に住所を有しない扶養親族のうち、16歳未満の場合には、「控除対象外国外扶養親族」欄に「〇」印をつけて下さい。
※「〇」をつけた方については、令和3年3月15日までに住所所在地の市区町村に親族関係書類及び送金関係書類を提出しなければならない場合があります。
新しく、「単身児童扶養者」の項目が設けられました
令和2年分の申告書より、「単身児童扶養者」の項目が設けられました。
この、「単身児童扶養者」とは、
一定の寡婦と生計を一にする子について、
児童扶養手当の支給を受けている所得者本人で、
一定の婚姻をしていない方又は配偶者の生死が明らかでない方
が該当します。
そして、該当する場合には、チェックボックスにチェックマークを付けて、
「児童扶養手当証書の番号」
「生計を一にする児童の氏名」
「児童の令和2年中の所得の見積額」
等を記載します。
扶養控除等申告書の記載を正確にすれば、節税に繋がります
上記が、令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方に関するご案内になります。
これらのように、それぞれの控除に該当すれば、所得者本人の所得税を減らす事が出来、節税にも繋がります。
そのため、控除を受けるための要件を確認し、扶養控除等申告書の記載内容に漏れや誤りのないようにして、税金の負担を軽減できるようにしましょう。
総務・経理担当者様からの年末調整に関するご相談を受け付けています
年末調整は、年に1回の作業であり、通常は、昨年の処理を振り返りながら、毎年の税制改正等を考慮して、従業員の方からの提出書類をチェックしながら進めるため、時間がかかり、ストレスも溜まります。
そして、年末の繁忙時に業務をしなければならないために、時間を確保するのも大変です。
そこで、今回は、下記概要にて、年末調整に関する個別ご相談を受け付けています。
1、受付内容
年末調整に関するご相談
例:
配偶者控除・配偶者特別控除額の算出
控除対象扶養親族の該当の有無
年末調整による所得税の過不足額の計算
その他、年末調整に関するご相談
2、実施期間及び実施時間帯
令和1年12月5日(木)から令和1年12月20日(金)の間の平日10時から17時までのうちの1時間
3、ご相談料金
1時間3,300円(消費税込み)
4、ご相談お申し込み方法
(1)弊所URLからのお申込みの場合
弊所お問い合わせページにて、お問い合わせ内容欄に、「年末調整相談希望」とご入力の上、ご希望の日時等をご入力頂き、合わせて、お名前・メールアドレスをご入力の上、ご送信をお願い致します。
(2)弊所Facebookページからのお申し込みの場合
下記URLより、メッセージにて、「年末調整相談希望」とご入力の上、お名前・メールアドレス・ご希望の日時等をご入力の上、ご送信をお願い致します。
https://www.facebook.com/satokeieitaxact/
なお、個別でのご相談であり、期間限定のため、先着順での受付となりますので、ご相談希望の場合には、お早めにご連絡をお願い致します。